配信・録画

実況の音声バランス|ゲーム音と声をdBで決める

配信・録画

結論

声とゲーム音の比率は感覚ではなくメーターで決めます。OBS公式は「話し声は赤ゾーンの下端に届くくらい、ゲーム音は黄ゾーンの下側、BGMや効果音は緑ゾーン」という基準を示しています。音量調整はOBSのフェーダーではなく、マイクやゲーム側の入力段から順に行うのが正しい順番です。Windowsの録音デバイスは0.0dB付近が最もクリッピングしにくい設定です。

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結論:3つのゾーンで置き場所が決まっている

「ゲーム音は声の何割」という比率で考えると、環境が変わるたびに崩れます。OBS公式は音量メーターのゾーンで基準を示しています。

ゾーン 意味 ここに置くもの
クリッピング寸前 話し声はこの領域の下端に届くくらい
通常の使用域 話し声は上側、ゲーム音などは下側
余裕のある領域 BGM、アラート効果音などその他すべて

クリッピングとは、音声信号が機材で正確に再現できないときに生じる歪みのことです。赤に張り付かせるのではなく、下端に届く程度が目安になります。

重要な注意点も公式に書かれています。

他の音があなたの声と同じ音量に見えても、実際には視聴者にはより大きく聞こえる場合があります。

メーターの高さが同じでも、聞こえ方は同じではありません。 だから次に説明する「黒い点」を見る必要があります。

メーターの4つの表示は意味が違う

OBSの音量メーターには4種類の表示が重なっています。どれを見るかで判断が変わります。

表示 位置 意味
下の点(静止) Bottom Dot 入力レベル。緑/黄/赤の状態をライブ表示
黒い点(移動) Black Dot VUメーター。音圧=「ラウドネス」のより正確な指標
主線(移動) Main Line ピークプログラムメーター。音が止まると-60dBまでゆっくり下がる
上の点 Top Dot 直近20秒間の最大値。 クリッピングの確認に使える

声とゲーム音のバランスを取るときに見るべきは黒い点です。 主線のピークだけを揃えると、体感では合いません。

右下の状態を右上と勘違いすることが、いちばん多い失敗です。 メーターの高さが揃ったところで手を止めず、黒い点の位置を見てください。

主線の落ち方(Audio Meter Decay Rate)は設定の音声セクションで変更できます。

音量は「OBSの手前」から順に決める

OBS公式のガイドは、調整の順番を明確にしています。

常に対象のデバイスから始めてください。

Windowsのレベルを0.0dBにする手順は公式に具体的に書かれています。コントロールパネル →「ハードウェアとサウンド」→「サウンド」→「録音」タブ → 対象デバイスのプロパティ →「レベル」タブで、パーセント表示を右クリックして「デシベル」に切り替えます。0.0dB付近がクリッピングの最も少ない設定です。

なお公式は「マイクはゲームや音楽、効果音といったコンピューター生成の音より自然に小さくなる」とも指摘しています。マイクを上げるのではなく、他を下げるほうが破綻しにくいという前提です。

フィルタは既定値を知ってから触る

OBSの音声フィルタは、公式ドキュメントに既定値が明記されています。まず既定値で使い、そこから動かしてください。

フィルタ 主な既定値 何のため
ノイズ抑制(RNNoise) 既定の方式。品質は高いがCPU負荷が大きい 軽度の背景ノイズ・ホワイトノイズ
ノイズ抑制(Speex) 抑制レベル -30dB 負荷を抑えたいとき。強くすると声も歪む
ノイズゲート Close -32dB / Open -26dB / Attack 25ms / Hold 200ms / Release 150ms 喋っていないときの音を切る
コンプレッサー Ratio 10:1 / Threshold -18dB / Attack 6ms / Release 60ms / Output Gain 0dB 叫んだときの突発的な音量を抑える
リミッター Threshold -6dB / Release 60ms 0dB超えを防ぐ。フィルタチェーンの最後に置く

ノイズゲートの調整方針も公式に書かれています。Close Threshold をノイズレベルより上に、Open Threshold を自分の声より少し下に設定すると良い結果が得られる、という考え方です。

ノイズ抑制の限界も明記されています。

軽度の背景ノイズやホワイトノイズの除去に使用できるが、騒々しい環境での大量のノイズには効果的でない

エアコンや扇風機を止めるほうが、フィルタを強くするより確実です。 フィルタは万能ではありません。

喋ったらBGMが下がる仕組みを作る

コンプレッサーの「サイドチェーン/ダッキングソース」にマイクを指定すると、マイクが入力されたときだけ他の音を下げられます。

OBS公式が推奨している設定値は次のとおりです。

項目 推奨値
Ratio 32:1
Threshold -36dB
Attack 100ms
Release 600ms

設定する場所を間違えやすいので注意してください。コンプレッサーを追加するのは「下げたい音源」の側(BGMやデスクトップ音声)で、そのサイドチェーンとしてマイクを選びます。マイク側に入れても効きません。

Attack 100ms は「喋り始めてから下がりきるまで」、Release 600ms は「喋り終わってから戻るまで」の速さです。Release を短くしすぎると、言葉の切れ目ごとに音楽が上下して不自然になります。

片方からしか聞こえない事故を防ぐ

実況でよく起きるトラブルです。ステレオソースで片側のメーターしか動いていない場合、視聴者にはその片側からしか聞こえません。

ソースのチャンネル数 視聴者への聞こえ方
1チャンネル(モノラル) 自動的に左右両方から聞こえる
2チャンネル(ステレオ) 割り当てどおり。片側だけならその片側のみ
3チャンネル以上(サラウンド) OBSが自動的にステレオへダウンミックスする

片側だけ鳴る場合は「モノラルにダウンミックス」を有効にします。 音声ミキサーの詳細音声プロパティから設定できます。

OBSは既定でステレオです。設定の音声セクションで変更でき、設定したチャンネル数までしかメーターが表示されません。

配信と録画で音声の推奨値が3倍違う

見落とされやすい差です。同じ音源でも、配信とアップロードで推奨ビットレートがまったく違います。

用途 ステレオ音声の推奨
YouTubeライブ配信 128kbps(5.1は384kbps)
YouTubeへのアップロード 384kbps(モノラル128kbps / 5.1は512kbps)

録画投稿では3倍の余裕があります。 配信の設定をそのまま録画に使うと、この差を捨てることになります。詳細は録画投稿の設定で整理しています。

映像側の設定はOBSのビットレート設定配信ビットレート計算機を参照してください。

視聴者側にも音量調整の仕組みがある

YouTubeには視聴者側の機能が2つあります。作り手はこれを前提にしすぎてはいけません。

機能 既定 内容
一定音量 オン 小さい音と大きい音のバランスを維持し、継続的に音量を調節する
音声ブースト オフ 周囲の音を抑え、人の声を強調する。オンにすると一定音量は自動的にオフ

ただし公式には制約も書かれています。動画によっては一定音量を利用できない場合があり、YouTube Musicと公式ミュージックビデオではオフです。視聴者が手動でオフにすることもできます。

つまり元の音量バランスが崩れていれば、そのまま届く視聴者がいます。 自動調整に任せる設計は成立しません。

よくある失敗

OBSのフェーダーだけで合わせようとする

入力段が小さすぎるとノイズごと持ち上がります。デバイス側から順に整えてください。

メーターのピークだけを揃える

体感の大きさは黒い点(VUメーター)に近い指標です。ピークが同じでも聞こえ方は違います。

ノイズ抑制を強くして解決しようとする

公式が「騒々しい環境での大量のノイズには効果的でない」と明記しています。音源を減らすほうが早いです。

リミッターをチェーンの途中に置く

公式はチェーンの最後に置くよう指示しています。後段で音量を上げれば意味がなくなります。

ダッキングをマイク側に設定する

コンプレッサーは「下げたい音源」に入れ、サイドチェーンにマイクを指定します。

配信の音声設定をそのまま録画に使う

アップロードのステレオ推奨は384kbpsで、配信の3倍です。

まとめ

  • OBS公式の基準は 赤の下端=話し声 / 黄の下側=ゲーム音 / 緑=BGMと効果音
  • バランスを見るのは黒い点(VUメーター)。ピークだけを揃えない
  • 調整はデバイス → OS → アプリ → OBSのフェーダーの順。Windowsは0.0dB付近
  • フィルタ既定値は ノイズゲート -32/-26dB、コンプレッサー 10:1 / -18dB、リミッター -6dB
  • リミッターはチェーンの最後に置く
  • ダッキングは Ratio 32:1 / Threshold -36dB / Attack 100ms / Release 600ms、下げたい音源側に設定
  • ステレオで片側しか鳴らないときはモノラルにダウンミックス
  • 音声ビットレートは配信128kbps / アップロード384kbpsで3倍違う
  • YouTubeの「一定音量」は既定オンだが、利用できない動画もあり視聴者がオフにもできる

よくある質問

声とゲーム音の比率はどれくらいが正解ですか?
比率ではなくメーターの位置で決めます。OBS公式のガイドは、赤ゾーンについて「話し声はこの領域の下端に届くくらい」、黄ゾーンについて「話し声は上側、ゲーム音などは下側」、緑ゾーンについて「BGMやアラート効果音などはここに収める」としています。同じメーターの高さでも実際の聞こえ方は音源によって違うため、黒い点(VUメーター)の位置も合わせて見てください。
OBSのフェーダーで音量を合わせればいいですか?
最後に微調整する場所です。OBS公式は「常に対象のデバイスから始める」としており、マイクの物理ゲインつまみ、ゲーム側の音量スライダー、OSのミキサーの順に整えてから、それでも合わなければOBSのフェーダーを触る流れを推奨しています。Windowsの場合、録音デバイスのプロパティでレベルをデシベル表示に切り替え、0.0dB付近にするとクリッピングが最も少なくなります。
ノイズ抑制はどれを選べばいいですか?
OBSのノイズ抑制フィルタには RNNoise・Speex・NVIDIA Noise Removal の3方式があります。既定はRNNoiseで、公式は「より高い品質を提供する一方で、より大きなCPU負荷がかかる」と説明しています。SpeexはCPU負荷が軽く、抑制レベルの既定値は-30dBです。NVIDIA方式はNVIDIA Broadcast SDKの再頒布パッケージが必要です。なお公式は、このフィルタが軽度の背景ノイズ向けであり、騒がしい環境の大量のノイズには効果的でないと明記しています。
喋ったときだけBGMを下げたいのですが可能ですか?
可能です。コンプレッサーのサイドチェーン/ダッキングソースにマイクを指定すると、マイクが入力されたときにその音源を下げられます。OBS公式が推奨している設定値は Ratio 32:1、Threshold -36dB、Attack 100ms、Release 600ms です。BGMやゲーム音のソース側にコンプレッサーを追加し、そのサイドチェーンとしてマイクを選びます。
視聴者側でも音量は調整されますか?
されます。YouTubeには「一定音量」という機能があり、既定でオンになっています。小さい音と大きい音のバランスを維持して音量を均一にする機能です。また「音声ブースト」をオンにすると周囲の音を抑えて人の声を強調しますが、このとき一定音量は自動的にオフになります。ただし動画によってはこれらの機能を利用できない場合があり、視聴者が手動でオフにすることもできます。元の音量バランスを整えておく必要があります。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 Audio Mixer Guide - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月12日確認
  2. 公式 Noise Gate Filter - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月12日確認
  3. 公式 Compressor Filter - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月12日確認
  4. 公式 Limiter Filter - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月12日確認
  5. 公式 デバイスで動画の音量を制御する - YouTube ヘルプ (Google) 2026年8月12日確認