実況用マイクの選び方|構造・指向性・接続方式で決める
結論
マイクは価格ではなく3点で決めます。構造(ダイナミックかコンデンサーか)、指向性(どの方向の音を拾うか)、接続方式(USBかXLRか)です。メーカー公式は、ダイナミックマイクを「エアコンの動作音がある部屋や、防音処理をしていない空間でも比較的安定して使える」と説明しています。自宅で防音していないなら、感度の高いコンデンサーより先にこちらを検討してください。
- 出典
- 4件
- うち公式 4 件
- 表・図解
- 9個
- 独自に作成
- 数値の記述
- 5箇所
- 単位つきで明記
- 関連記事へのリンク
- 5本
- サイト内
目次
結論:見るのは3点だけ
マイクは種類が多く、価格帯も広いので迷います。メーカー公式が挙げている選定基準は2つ、実況ではもう1つ加えて3つです。
| 見る点 | 選択肢 | 何が決まるか |
|---|---|---|
| 構造 | ダイナミック / コンデンサー | 環境ノイズへの強さ、必要な電源 |
| 指向性 | 無指向性 / 単一指向性 / 双指向性 | どの方向の音を拾うか |
| 接続方式 | USB / XLR | 追加機器が要るかどうか |
オーディオテクニカ公式は前者2つについて、こう位置づけています。
マイクを選ぶ際に注目したいポイントは次の2つです。 ・マイクの構造(ダイナミックマイク/コンデンサーマイク) ・指向性(どの方向の音を拾いやすいか)
同時に「実際の音質や使い勝手は、指向性や感度、周波数特性など複数の要素が組み合わさって決まります。構造による違いは、あくまで目安として捉えるとよいでしょう」とも注記されています。構造だけで音が決まるわけではありません。
構造:部屋の状態で決まる
実況で効いてくるのは音質より「環境ノイズへの強さ」です。
| 項目 | ダイナミックマイク | コンデンサーマイク |
|---|---|---|
| 構造 | シンプルで耐久性が高い | 精密。感度が高い |
| 環境への強さ | エアコンの動作音がある部屋、防音処理をしていない空間でも比較的安定 | 環境音やタッチノイズを拾いやすい |
| 拾える表現 | 正面中心 | 細かなニュアンスや空気感まで |
| ハウリング | 起こりにくい(配信・ステージ向き) | 相対的に起こりやすい |
| 電源 | 不要 | 多くがファンタム電源を必要とする |
マイクの構造で吸収できるのは、あくまで「拾いにくくする」ところまでです。部屋そのものの音を減らす話は部屋の遮音と防音にまとめています。
自宅で防音していないなら、ダイナミックを先に検討してください。 公式が明示的に「必ずしも理想的とは言えない環境でも比較的安定して使える」と書いているのはダイナミック側です。
逆に、静かな部屋を確保できてナレーションのような繊細さを出したいならコンデンサーが向きます。ただし感度の高さは「余計な音も拾う」ことと表裏です。
指向性:3種類の使い分け
指向性とは、マイクがどの方向からの音を拾いやすいかを示す特性です。
| 指向性 | 拾う範囲 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 無指向性(全指向性) | 360度すべての方向から均等 | 複数人での会話、空間の雰囲気や環境音の記録 |
| 単一指向性 | 主にマイク正面 | 配信、歌録り、ナレーション。実況の標準 |
| 双指向性 | 前面と背面の2方向 | 対談、インタビュー、デュエット |
実況で基本になるのは単一指向性です。 無指向性は「使用環境によっては不要な音まで拾ってしまう可能性がある」と公式も注意しています。
「鋭いほど良い」ではない
ここが最も見落とされる点です。単一指向性にも種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| カーディオイド | 単一指向性の中で最も一般的 |
| スーパーカーディオイド | 正面の音をより集中的に拾う |
| ハイパーカーディオイド(超単一指向性) | さらに指向性を絞る |
そして公式はこう注意しています。
これらは正面方向の指向性が鋭くなる一方で、背面にも音を拾うポイントが生じるため、使用環境には注意が必要です。
指向性を絞るほど背面に感度の山ができます。 マイクの後ろにPCの排気口やスピーカー、窓がある配置だと、鋭いマイクを選んだせいでノイズが増えることがあります。
なぜそうなるかは構造で説明できます。単一指向性のマイクは、振動板の後ろ側にも音の通り道として穴や溝が設けられています。後方から来た音を振動板の表と裏に同時に到達させ、同量のエネルギーとして相殺することで正面の指向性を作っています。この相殺の設計を鋭くしていくと、打ち消しきれない角度が生まれます。
接続方式:追加機器が要るかどうか
| 項目 | USBマイク | XLRマイク |
|---|---|---|
| 接続先 | PCに直接 | オーディオインターフェースやミキサー経由 |
| 追加機器 | 不要 | 必要 |
| ファンタム電源 | 本体で完結(USBから給電) | 接続機器から供給する必要がある |
| 後からの交換 | マイクごと買い替え | マイクだけ交換できる |
| 複数マイク | 難しい | しやすい |
コンデンサーマイクを選ぶ場合、ファンタム電源の確認が必須です。公式の説明はこうです。
多くのコンデンサーマイクは動作のためにファンタム電源と呼ばれる外部電源を必要とします。これは、オーディオインターフェースやミキサー側からマイクに電力を供給する仕組みで、使用前に対応機器かどうかを確認しておく必要があります。
「マイクだけ買って音が出ない」の典型がこれです。 接続機器が要るかどうかはオーディオインターフェースは必要かで整理しています。
ソフトで直せる範囲を知っておく
マイクを選ぶ前に、OBS側でどこまで対処できるかを知っておくと過剰な買い物を避けられます。
| やりたいこと | OBSでできるか |
|---|---|
| 軽度の背景ノイズ・ホワイトノイズを減らす | できる(ノイズ抑制フィルタ) |
| 騒々しい環境の大量のノイズを消す | できない(公式が明記) |
| 喋っていないときの音を切る | できる(ノイズゲート) |
| 突発的な大音量を抑える | できる(コンプレッサー) |
| 片チャンネルしか鳴らない問題を直す | できる(モノラルにダウンミックス) |
| 入力レベルが小さすぎる問題を直す | 根本的には直せない(持ち上げるとノイズも上がる) |
最後の行が重要です。OBS公式は音量調整について「常に対象のデバイスから始めてください」としており、マイクの物理ゲインやOSのレベル設定が先です。フィルタの設定値と使い方は実況の音声バランスにまとめました。
買う前に自分の部屋を測る
マイクを選ぶ前にやるべきことがあります。自分の部屋がどれくらい静かなのかを、数値で把握することです。
手持ちのスマートフォンやPCの内蔵マイクで、何も喋らずに1分だけ録音してください。それを再生して、エアコン・PCファン・外の音がどれくらい入るかを聞きます。
判断の目安になるのが、OBSのフィルタの既定値です。
| フィルタ | 既定値 | この値が意味すること |
|---|---|---|
| ノイズゲート Close Threshold | -32dB | これより小さい音は切られる |
| ノイズゲート Open Threshold | -26dB | これより大きい音でゲートが開く |
| コンプレッサー Threshold | -18dB | ここから圧縮がかかり始める |
| リミッター Threshold | -6dB | ここが出力の上限になる |
OBS公式は、ノイズゲートの調整方針を「Close Thresholdをノイズレベルより上に、Open Thresholdを音声入力より若干下に設定」することだとしています。つまり暗騒音と自分の声の間に、十分な差がなければゲートは機能しません。
暗騒音が大きい部屋なら、感度の高いコンデンサーを選ぶほど差が詰まります。マイクを買う前に、エアコンを止める・PCの位置を変えるほうが効くことがあります。
設定値の詳細は実況の音声バランス、配信が不安定な場合の切り分けは配信が落ちる・カクつく原因と対処にまとめています。
選ぶ前のチェックリスト
購入前に確認する8項目
- 部屋の暗騒音を確認した(エアコン・PCファン・外の音)
- 防音していないなら、ダイナミックを候補に入れた
- 指向性が単一指向性であることを確認した
- スーパー/ハイパーカーディオイドなら、背面に騒音源がない配置にできる
- 接続方式を決めた(USBなら単体で完結、XLRなら接続機器が必要)
- コンデンサーの場合、ファンタム電源を供給できる機器がある
- サイドアドレス型かエンドアドレス型かを確認した(正面の向きが違う)
- スタンドやアームで口元との距離と角度を固定できる
よくある失敗
静かな環境がないのに高感度のコンデンサーを買う
感度が高いぶん環境音も拾います。公式もタッチノイズを拾いやすいと注記しています。
指向性が鋭いほど雑音に強いと思う
スーパー/ハイパーカーディオイドは背面にも拾うポイントが生じます。
XLRマイクを単体で買う
ファンタム電源を供給できる機器がなければ動きません。
マイクの向きを間違える
サイドアドレス型は側面が正面です。ロゴの向きで判別できる製品が多くあります。
ノイズをフィルタで消そうとする
公式が「騒々しい環境での大量のノイズには効果的でない」と明記しています。配置と環境が先です。
まとめ
- 見るのは構造・指向性・接続方式の3点
- 防音していない部屋ならダイナミック。公式が「比較的安定して使える」と明記
- コンデンサーは感度が高いが、環境音とタッチノイズを拾いやすい
- 実況の基本は単一指向性。無指向性は不要な音まで拾う
- スーパー/ハイパーカーディオイドは背面にも音を拾うポイントが生じる
- 多くのコンデンサーマイクはファンタム電源が必要。接続機器の確認が必須
- OBSのノイズ抑制は軽度のノイズ向け。環境と配置が先
よくある質問
ダイナミックとコンデンサーはどちらがいいですか?
単一指向性なら周りの音は入らないのですか?
コンデンサーマイクを買えばすぐ使えますか?
USBマイクとXLRマイクはどちらを選ぶべきですか?
ノイズはソフト側のフィルタで消せませんか?
出典
本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。
- 公式 マイク選びの基礎知識 〜ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違いと指向性 (オーディオテクニカ) 2026年8月13日確認
- 公式 マイクロホンの指向特性(単一指向性)|Microphone Navi (オーディオテクニカ) 2026年8月13日確認
- 公式 Noise Suppression Filter - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月13日確認
- 公式 Audio Mixer Guide - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月13日確認