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キャプチャーボードの選び方|規格から必要条件を決める

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結論

キャプチャーボードで最も誤解されるのが「パススルーの解像度」と「キャプチャの解像度」が別物だという点です。理由は帯域の差にあります。HDMI 2.1は最大48Gbps、HDMI 2.2は96Gbpsに対し、USBは最大でも20Gbps。一桁違うため、HDMIで通せる信号をそのままPCへ送ることはできません。まず必要な規格を決めてから製品を見てください。

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結論:帯域の差を知れば仕様が読める

キャプチャーボードの製品ページには2種類の解像度が書かれています。この2つを同じものだと思うと、必ず選定を間違えます。

経路 何をするか 帯域を決める規格
パススルー HDMI入力をHDMI出力へそのまま通す(自分のモニター用) HDMI
キャプチャ 映像をUSBでPCへ送る(配信・録画用) USB

そして両者の帯域には一桁の差があります。

規格 最大帯域
HDMI 2.1 48Gbps
HDMI 2.2 96Gbps
USB 3.2(最速) 20Gbps
USB 3.2(一般的) 5Gbps または 10Gbps

HDMIで通せる信号を、そのままUSBでPCへ送ることは物理的にできません。 だから「モニターには4K60で映るのに、PCへ取り込めるのは4K30まで」という仕様が成立します。これは製品の手抜きではなく、規格の帰結です。

実例として、Elgatoは HD60 X の製品ページでパススルーについてこう書いています。

最高4K60 HDR10のパススルーでお気に入りのゲームを本来あるべき姿でプレイ。または、1440p120または1080p120の高フレームレートでゲームを楽しむこともできます。

これはパススルーの数値です。キャプチャ側の数値は別に確認する必要があります。

必要な帯域は計算できる

非圧縮映像のデータ量は掛け算で出ます。横×縦×fps×1ピクセルあたりのビット数です。

24ビット(RGB各8ビット、4:4:4相当)と仮定した場合の目安です。

解像度 / fps 計算 必要帯域(概算)
1080p / 30fps 1920×1080×30×24 1.5 Gbps
1080p / 60fps 1920×1080×60×24 3.0 Gbps
1080p / 120fps 1920×1080×120×24 6.0 Gbps
1440p / 60fps 2560×1440×60×24 5.3 Gbps
4K / 30fps 3840×2160×30×24 6.0 Gbps
4K / 60fps 3840×2160×60×24 11.9 Gbps

USB 5Gbps に非圧縮で収まるのは 1080p60 までです。 4K30ですら約6.0Gbpsで超えます。

クロマサブサンプリング4:2:0(1ピクセルあたり12ビット相当)にすれば半分になりますが、それでも4K60は約6.0Gbps、4K30は約3.0Gbpsです。

接続 非圧縮で現実的に収まる上限(4:2:0の場合)
USB 5Gbps 4K30、または1080p120 あたり
USB 10Gbps 4K60 に届く
USB 20Gbps 余裕がある

「4K60キャプチャ」を謳う製品でUSB 5Gbps接続なら、機器側で圧縮しているか、条件付きの対応です。 製品ページの注記を読んでください。

なおこの計算は非圧縮での目安です。配信時に実際に送出するビットレートはまったく別の話で、YouTubeの1080p60推奨は12,000kbps(12Mbps)です。桁を混同しないでください。設定値の決め方はOBSのビットレート設定、自分の回線での上限は配信ビットレート計算機で確認できます。

HDMIケーブルは区分が決まっている

ケーブルが足りないとパススルーで映りません。 HDMI公式が定義している区分です。

ケーブル区分 帯域 対応する主な形式
Standard HDMI Cable 1080i、720p
High Speed HDMI Cable 10.2Gbps 1080p以上、4K@30Hz、3D、Deep Color
Premium High Speed HDMI Cable 18Gbps 4K60、HDR、BT.2020を含む広色域
Ultra High Speed HDMI Cable 48Gbps 8K@60、4K@120(HDMI 2.1で導入、2020年に市場投入)
Ultra96 HDMI Cable 96Gbps 8K@60/4:4:4、4K@240/4:4:4(10/12ビット)

HDMI公式は「すべてのHDMIケーブル製品はケーブルの正式名称をケーブル被覆に表示することが求められる」としています。手持ちのケーブルの被覆を見れば区分が分かります。

4K60でパススルーしたいなら、Premium High Speed 以上が必要です。付属ケーブルや古いケーブルのままで「映らない」というトラブルの多くはここです。

USBは「最も低い共通速度」で動く

USB-IF(USB規格の策定団体)は、USB 3.2について3つの転送速度を定義しています。

転送速度 公式のブランド表記
5Gbps USB 5Gbps
10Gbps USB 10Gbps
20Gbps USB 20Gbps(10Gbps×2レーン)

そして重要な性質が明記されています。

Backwards compatible with all existing USB products; will operate at lowest common speed capability

既存のすべてのUSB製品と後方互換で、最も低い共通の速度で動作します。 つまり次のどれか1つが遅ければ、そこが全体の上限になります。

「スペック通りの解像度で取り込めない」ときは、まず経路上の一番遅い箇所を疑ってください。

そもそも必要かを先に判断する

キャプチャーボードは必ず要るものではありません。PS5について、PlayStation公式はこう説明しています。

DualSense ワイヤレスコントローラーにはマイク機能が内蔵されているため、ゲームプレイ映像に自分の音声を含める基本的な配信なら、PCやキャプチャーボードといった特別な機材を用意しなくても簡単にはじめられます。

PS5のブロードキャスト機能はYouTubeとTwitchに対応しており、利用できるのは18歳以上のアカウントです。

やりたいこと キャプチャーボード
家庭用ゲーム機の映像をそのまま配信したい 不要(本体の配信機能で足りる)
PCゲームを配信したい 不要(OBSの画面キャプチャで足りる)
ゲーム機の映像をOBSで加工したい(テロップ・複数ソース) 必要
ゲーム機の映像を高画質で録画して編集したい 必要
2台のPCに分けて配信の負荷を逃したい 必要

先に「本体機能で足りないか」を確認してください。 始め方の全体像はゲーム実況の始め方にまとめています。

選ぶ前に確認するチェックリスト

購入前に確認する9項目

  • 本体の配信機能では足りない理由が明確になっている
  • 「パススルーの解像度」と「キャプチャの解像度」を別々に確認した
  • 自分が配信したい解像度・fpsを先に決めた(1080p60なのか4K60なのか)
  • その解像度に必要な帯域を確認した(1080p60なら非圧縮で約3.0Gbps)
  • PCのUSBポートの規格を確認した(5Gbpsか10Gbpsか)
  • USBハブやドッキングステーションを経由していない
  • HDMIケーブルの区分を被覆の表記で確認した
  • 4K60パススルーならPremium High Speed以上のケーブルを用意した
  • ゲーム機側の出力設定(解像度・HDR)を確認した

よくある失敗

パススルーの数値でキャプチャ性能を判断する

別の経路です。HDMIとUSBの帯域には一桁の差があります。

付属以外のHDMIケーブルに替えて映らなくなる

4K60には18Gbps(Premium High Speed)以上が必要です。ケーブル被覆の表記を確認してください。

USBハブ経由で繋ぐ

USBは最も低い共通速度で動作します。ハブが上限を作ります。

非圧縮のデータ量と配信ビットレートを混同する

4K60の非圧縮は約11.9Gbps、YouTubeの1080p60推奨配信ビットレートは12Mbps。桁が3つ違います。

本体の配信機能を試さずに機材から買う

PS5は公式に「キャプチャーボードなしで始められる」と説明しています。

まとめ

  • パススルーとキャプチャは別経路。HDMI(最大48〜96Gbps)とUSB(最大20Gbps)で一桁違う
  • 非圧縮の必要帯域は 1080p60で約3.0Gbps、4K30で約6.0Gbps、4K60で約11.9Gbps(24ビット時)
  • USB 5Gbpsに非圧縮で収まるのは1080p60まで。4K60には10Gbps以上か圧縮が前提
  • HDMIケーブルは区分がある。4K60には18Gbps(Premium High Speed)以上
  • 8K@60・4K@120にはUltra High Speed(48Gbps)、HDMI 2.2世代はUltra96(96Gbps)
  • USBは最も低い共通速度で動作する。ポート・ケーブル・ハブのどれか1つが上限を作る
  • PS5は公式にキャプチャーボードなしで配信できる。必要性を先に判断する

よくある質問

パススルーが4K60対応なら4K60で配信できますか?
できるとは限りません。パススルーはHDMI入力をHDMI出力へそのまま通す経路で、キャプチャはUSBでPCへ送る経路です。HDMI 2.1の帯域は最大48Gbps、USBは規格上最大でも20Gbpsで一桁違います。そのため「モニターには4K60で映るが、PCへ取り込めるのは4K30まで」という製品仕様が成立します。製品を見るときは、パススルーとキャプチャの数値を別々に確認してください。
USB 3.0のポートに繋げば速度は出ますか?
出るとは限りません。USB-IFは、USBが既存製品と後方互換であり「最も低い共通の速度で動作する」と説明しています。ケーブル・ハブ・ポートのどれか1つが遅ければ、そこが上限になります。USB 3.2の転送速度は20Gbps・10Gbps・5Gbpsの3種類が定義されており、公式のブランド表記は「USB 5Gbps」「USB 10Gbps」「USB 20Gbps」です。
HDMIケーブルはどれでも同じですか?
違います。HDMI公式はケーブルを区分しており、Standard HDMI Cableは1080i/720p、High Speed HDMI Cableは10.2Gbpsで4K@30Hzまで、Premium High Speed HDMI Cableは18Gbpsで4K60とHDRまで、Ultra High Speed HDMI Cableは48Gbpsで8K@60・4K@120まで、Ultra96 HDMI Cableは96Gbpsに対応します。ケーブルが足りないとパススルー側で映らなくなります。
4K60をキャプチャするには何が必要ですか?
帯域から逆算できます。3840×2160・60fps・1ピクセルあたり24ビットの非圧縮なら約11.9Gbpsになり、USB 5Gbpsには収まりません。クロマサブサンプリング4:2:0(1ピクセルあたり12ビット相当)でも約6.0Gbpsで、やはり5Gbpsを超えます。つまり4K60のキャプチャには、USB 10Gbps以上の接続か、機器側での圧縮が前提になります。
そもそもキャプチャーボードは必要ですか?
必要ない場合があります。PS5にはブロードキャスト機能があり、PlayStation公式は「PCやキャプチャーボードといった特別な機材を用意しなくても簡単にはじめられます」と説明しています。対応先はYouTubeとTwitchで、利用できるのは18歳以上のアカウントです。編集や複数ソースの合成をしたい場合にキャプチャーボードが必要になります。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 HDMI FORUM RELEASES VERSION 2.1 OF THE HDMI SPECIFICATION (HDMI Forum) 2026年8月12日確認
  2. 公式 HDMI Cables - Different Cable Types (HDMI Licensing Administrator) 2026年8月12日確認
  3. 公式 HDMI Bandwidths and Resolutions Overview (HDMI Licensing Administrator) 2026年8月12日確認
  4. 公式 USB 3.2 Specification (USB Implementers Forum) 2026年8月12日確認
  5. 公式 Game Capture HD60 X 製品ページ (Elgato) 2026年8月12日確認
  6. 公式 PS5®でゲーム実況をはじめよう! (ソニー・インタラクティブエンタテインメント) 2026年8月12日確認