機材

自宅の防音|遮音の等級は建物で決まり、多くの物件では評価すらされていない

機材

結論

防音は「対策グッズ」の話から入りがちですが、遮音性能の大半は建物の側で決まっています。住宅性能表示制度には遮音の等級があり、重量床衝撃音対策等級と軽量床衝撃音対策等級が5段階、居室の界壁の透過損失等級が4段階、外壁開口部の透過損失等級が3段階です。ただし「音環境に関すること」は選択表示事項で、評価対象とするかどうかは申請者が選べます。多くの物件では数値そのものが存在しません。だから実況側の現実的な対処は、部屋ではなく収録の設定に寄ります。

出典
3
うち公式 3 件
表・図解
6
独自に作成
数値の記述
16箇所
単位つきで明記
関連記事へのリンク
4
サイト内
目次

結論:等級は建物で決まっている

防音の話は「何を買うか」から始まりがちですが、遮音性能の大半は入居した時点で決まっています。 住宅性能表示制度には等級があります。

等級 段階 対象
重量床衝撃音対策等級 5段階(等級5〜1) 上階で跳ねる・走るような音
軽量床衝撃音対策等級 5段階(等級5〜1) 物を落とす・歩くような音
透過損失等級(界壁 4段階(等級4〜1) 隣の住戸との壁を通る音
透過損失等級(外壁開口部 3段階(等級3〜1) 窓まわりから入る音

床・壁・窓が別々の指標になっている点が重要です。 「この部屋は防音が弱い」ではなく、どこが弱いのかで対処が変わります。

多くの物件では、その数値が存在しない

より重要なのはこちらです。

選択表示事項(オプション)ですから、申請者が評価対象とするか否かを選択することができます

「音環境に関すること」は必須項目ではない

評価するかどうかを申請者が選べるということは、評価されていない物件では等級そのものが存在しないということです。借りるときに数値で比較できるとは限りません。 「防音重視で選ぶ」という方針は、選べる物件が限られる前提で立てる必要があります。

なお、問題が起きやすい住宅の種類も示されています。

この種の騒音問題は、戸建住宅よりも共同住宅の各住戸間で発生する場合の方が多くなっています

等級が分かれている=対処も分かれている

床・壁・窓で指標が別なのには理由があります。実況者の側でできることが、それぞれ違うからです。

経路 対応する等級 実況者にできること
上階からの足音・落下音 重量床衝撃音対策等級 / 軽量床衝撃音対策等級 ほぼ無い。 収録の時間帯をずらす程度
隣の住戸からの声・生活音 透過損失等級(界壁) 収録位置を界壁から離す。 マイクの指向性の背面を壁に向ける
外の車・雨・工事の音 透過損失等級(外壁開口部) 窓から離れる。 時間帯を変える

上からの音だけは、機材でも配置でも対処できません。 ここが主因なら、対策の議論を続けるより収録時間を動かすほうが早く解決します。

防音資材の効果は書けない

当サイトは、検証可能な一次ソースがない主張を書きません編集方針)。

「効果が無い」と言っているのではありません。 数値で保証できないので書かない、という判断です。

ソフト側で対処できる範囲も、OBS公式が線を引いています。軽度の背景ノイズやホワイトノイズは減らせますが、騒々しい環境の大量のノイズは消せないと明記されています。「あとでソフトで消す」を前提に環境を放置すると、消せない側に入ります。

収録側は数値で選べる

マイクは「どこから拾うか」と「どれだけ拾うか」を規格の数値で選べます。

手段 何が変わるか
指向性 拾う方向が変わる。背面や側面の音を落とせる
距離 近いほど声が相対的に大きくなり、環境音の比率が下がる
感度 機材によって入力レベルが変わる。-37dBと-53dBで「16dB=7倍ほどの違い」
ゲイン 上げるほど環境音も一緒に上がる。S/N比は改善しない

感度が低いマイクは「環境音を拾いにくい」ということでもある

同じ声量なら小さく録れますが、裏を返せば離れた場所の音も小さく入ります。 距離を詰める前提で使えば、部屋の音を相対的に落とせます。数値の読み方はマイクとの距離とゲイン、型式ごとの違いは実況用マイクの選び方にまとめています。

順番

フィルタの順序と既定値は音声ミキシングにまとめています。

環境を見直すときのチェック

音の問題を切り分ける7項目

  • 入ってくる音が床・壁・窓のどれ経由か確認した
  • 物件の遮音等級が評価されているか確認した(多くは未評価)
  • 収録する時間帯を変えられないか検討した
  • マイクの指向性の向きが正しい
  • マイクとの距離を詰められる余地がある
  • ゲインを上げすぎていない
  • ソフトのフィルタを強くかけすぎて声が痩せていない

よくある失敗

「防音対策」を資材の話から始める

遮音性能の大半は建物側で決まっています。まず何経由の音かを切り分けてください。

物件選びで遮音等級を比較できると思う

「音環境に関すること」は選択表示事項です。評価されていない物件では数値が存在しません。

床の音と壁の音を同じ問題として扱う

等級は重量床衝撃音・軽量床衝撃音・界壁・外壁開口部で分かれています。

ゲインを上げて声を大きくする

環境音も一緒に上がります。S/N比はゲインでは改善しません。

ノイズ抑制を強くかけて解決したことにする

かけるほど声の質も削れます。入り口を整えるのが先です。

まとめ

  • 遮音の等級は重量床衝撃音5段階 / 軽量床衝撃音5段階 / 界壁の透過損失4段階 / 外壁開口部の透過損失3段階
  • 床・壁・窓が別々の指標になっている
  • 「音環境に関すること」は選択表示事項。評価するかは申請者が選べる
  • したがって評価されていない物件では数値が存在しない
  • 騒音問題は戸建住宅より共同住宅で起きやすいとされている
  • 防音資材の効果は数値で示せる一次ソースが無かったため書かない
  • 確実なのは収録側。指向性・距離・感度・ゲインは数値で選べる
  • 感度は-37dBと-53dBで「16dB=7倍ほどの違い」
  • S/N比はゲインでは改善しない。入り口を整えるのが先

よくある質問

部屋の遮音性能は数値で分かりますか?
分かる物件と分からない物件があります。住宅性能表示制度の「音環境に関すること」は、住宅性能評価・表示協会の説明で「選択表示事項(オプション)ですから、申請者が評価対象とするか否かを選択することができます」とされています。必須ではないため、評価されていない物件では数値が存在しません。借りるときに比較できるとは限らないということです。
遮音の等級にはどんな種類がありますか?
4種類あります。重量床衝撃音対策等級が等級5〜1の5段階、軽量床衝撃音対策等級も等級5〜1の5段階、居室の界壁の透過損失等級が等級4〜1の4段階、外壁開口部の透過損失等級が等級3〜1の3段階です。床の音と壁の音、そして窓まわりが別々の指標になっている点が重要です。
一戸建てなら気にしなくていいですか?
相対的には問題が起きにくくなります。住宅性能評価・表示協会は「この種の騒音問題は、戸建住宅よりも共同住宅の各住戸間で発生する場合の方が多くなっています」としています。ただし外壁開口部の透過損失等級が別に設けられているとおり、外からの音は建物の種類にかかわらず入ります。
防音グッズを買えば解決しますか?
効果を数値で示せる根拠が見つかりませんでした。当サイトは検証可能な一次ソースがない主張を書かない方針のため、個別の資材について「何dB下がる」とは書きません。確かなのは、建物側の遮音は等級として規格化されている一方、後から足す内装の効果は物件ごとに変わるということです。
では実況者は何をすればいいですか?
収録側に寄せてください。マイクの指向性で拾う方向を絞る、距離を詰めて相対的に環境音を小さくする、ゲインを上げすぎない、という順です。感度の低いマイクは距離を詰める前提の設計で、公式解説ではAT2020の-37dBとAT2040の-53dBを比べて「16dB=7倍ほどの違いがあります」とされています。機材選びで拾う量が変わります。
ソフトのノイズ抑制で消せませんか?
限度があります。S/N比はゲインを上げても改善しないため、入り口で環境音が大きく入っているほど後から消しにくくなります。OBSのフィルタで扱える範囲は決まっており、抑制を強くかけるほど声の質も削れます。まず入り口を整えるのが順番です。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 遮音対策(音環境)|住宅性能表示制度 (一般社団法人 住宅性能評価・表示協会) 2026年8月13日確認
  2. 公式 知っていそうで意外に知らない『スペック』の読み方:マイク編 (株式会社オーディオテクニカ) 2026年8月13日確認
  3. 公式 Noise Suppression Filter - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月13日確認