ルール・法務

配信で個人情報を守る|映り込みと削除依頼の実際

ルール・法務

結論

守る対象は3つに分かれます。配信中に映り込む情報、公開してしまった後の削除、そしてアカウントそのものです。YouTubeは氏名・住所・メール・電話番号・ID番号・金融情報などを個人情報として扱い、申し立ての審査では人物を一意に特定できるかどうかを見ます。重要なのは、指摘を受けたときに動画を非公開にする対応が認められない点です。非公開はいつでも公開に戻せるため、適切な対応とみなされません。

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結論:守る対象は3つに分かれる

「個人情報の流出対策」とひとまとめにすると手が付きません。時間軸で3つに分けます。

このうちコストが最も低いのは配信中の対策です。公開後の削除は、すでに保存された可能性を消せません。

YouTubeが個人情報として扱うもの

公式が挙げている範囲です。

区分 具体例
個人を特定できるもの 画像・音声・映像・テキスト
連絡先情報 住所、メールアドレス、電話番号
ID番号 社会保障番号、国民ID番号
金融情報 クレジットカード番号、銀行口座
AIによる改変・生成 本人の同意なく容姿や声を模倣したコンテンツ

公式は「画像」または「氏名」について、個人を特定できる画像、音声、映像、またはテキストと定義しています。音声が含まれている点に注意してください。配信中に読み上げた情報も対象になります。

削除されるかどうかの判断基準

申し立てが通るかどうかは、次の観点で審査されます。

審査で見られる点
人物を一意に特定できること
コンテンツが改変または合成されているか
改変・合成であることが視聴者に開示されているか
公共の関心・ニュース性があるか
その情報が公に入手可能か
パロディ・風刺・公益にあたる要素があるか

判断の中心にあるのは「他の人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれていること」です。

そのため、次のようなものはプライバシー侵害として扱われません。

侵害として扱われないもの

他の識別情報を伴わない下の名前だけの言及、文脈のない短い登場、そして家族・同僚・会社に関する第三者からの申し立てです。「名前を出された」だけでは基準を満たしません。

申し立ては本人が行う必要があります。公式は「第三者の代理として申し立てを行うことは認められません」としており、未成年者の保護者や法定代理人、亡くなった方の親族といった例外だけが設けられています。

「非公開にする」は対応として認められない

指摘を受けたときの対応で、最も間違えやすい点です。

動画を非公開にしても解決しない

YouTube公式は非公開について、「ステータスは非公開から公開にいつでも変更できるため、これは適切ではありません」と明記しています。いつでも戻せる状態は、削除したことになりません。

認められる対応は次のとおりです。

対応 可否
動画を完全に削除する
タイトル・説明文から個人情報を取り除く編集
顔にぼかしをかける
動画を非公開にする 不可(いつでも公開に戻せるため)

アップロード者には通知と、編集または削除を行う機会が与えられます。何もしなければ、YouTube側の判断で処理が進みます。 違反警告の仕組みはYouTubeのポリシー違反にまとめています。

映り込みは「写真より危ない」

総務省はSNSへの投稿について、映り込みから個人が特定される例を挙げています。

写真に映り込んだものから、訪れた店や地域など生活範囲が推測できる

さらに具体的です。

電柱や看板の文字が読めたり、瞳に映ったものが見えたりする可能性

建物や地域の行事からも生活範囲は推測できるとされています。

実況配信は、この条件が写真より厳しくなります。 理由は3つです。

写真との違い 何が増えるか
時間が長い 数秒の写真に対し、配信は数時間。映り込む機会が桁違いに多い
画面が複数ある ゲーム画面・カメラ・通知・ブラウザ・チャットツールが同時に映る
巻き戻せる アーカイブは何度でも一時停止・拡大して確認できる

総務省が挙げている注意点は、配信にもそのまま当てはまります。「非公開設定にして特定の人とだけ共有する」「友人同士でも個人情報は安易に答えない・回さない」「非公開で得た情報は勝手に再投稿やスクリーンショットをしない」の3つです。

配信を始める前に画面から消す10項目

  • OSの通知(メール・メッセージ・カレンダーの件名)を配信中は止める設定にした
  • ブラウザのブックマークバーとタブのタイトルが映らない配置にした
  • デスクトップのファイル名・フォルダ名が映らないようにした
  • キャプチャ範囲を画面全体ではなくウィンドウ単位に絞った
  • ゲーム内の表示名・フレンドリスト・招待コードの扱いを決めた
  • チャットツールの通知プレビューを切った
  • カメラを使う場合、背景に窓・表札・郵便物・地域の目印が入っていない
  • 音声に家族の会話・宅配のインターホン・電話の着信が入る可能性を考えた
  • 配信開始前に数分のテスト録画を再生して、映っているものを自分で確認した
  • アーカイブを残す設定かどうかを把握している

テスト録画の手順はOBSの初期設定で扱っています。「配信しながら気をつける」ではなく、映らない構成にしてから始めるのが確実です。

アーカイブが残る期間を把握しておく

映り込みが起きたとき、それが何日間見られる状態にあるかで対応の緊急度が変わります。Twitchは保存期間を公開しています。

区分 過去の配信(VOD)の保存期間
パートナー / Prime / Turbo 60日間
アフィリエイト 14日間
それ以外のストリーマー 7日間

押さえておくべき挙動が3つあります。

挙動 内容
保存は既定でオフ 過去の配信のストレージはデフォルトでは有効になっていない。配信設定で明示的に有効にする
有効にすると既定で公開 有効化すると、除外設定をしていない限りVODはデフォルトで公開される
ダイジェスト・アップロードは無期限 合計100時間のストレージ制限内で無期限に保存される。非公開にしても容量は開放されない

ダイジェストとアップロードは期限で消えません。 切り抜きに個人情報が入っていた場合、放置すれば残り続けます。

縦画面形式のVODは配信後7日で期限切れとなり、その後は残りの保持期間中に横画面版が利用可能になります。2Kで配信した場合もVODの2K品質版は配信後7日で期限切れとなり、以降は1080p版が残ります。

アカウントを守る

映り込みを防いでも、アカウントを乗っ取られればすべて無意味になります。IPAが個人向けに挙げている対策です。

対策 IPAの記載
パスワード 「大小英字、数字および記号を混在させて最低でも10文字」。可能な範囲で複雑な長い文字列を設定する
OS・ソフトウェア 最新の状態にする
セキュリティソフト 導入し、定義ファイルを更新する
スマートフォン 画面ロック機能を有効にする
不審なメール・SMS・SNSのURL 開かない
偽のセキュリティ警告 警戒する

実況者に特有なのは、案件やコラボの連絡を装った連絡が届く点です。「ゲームのレビュー用コードを送ります」といった文面は、通常の営業と見分けが付きにくい形です。案件の受け方と確認事項は案件・スポンサーシップの受け方にまとめています。

発売前の情報も「出してはいけない情報」になる

個人情報とは別の話ですが、流出させてはいけない情報という点では同じ扱いが要ります。ゲームメーカーのガイドラインには、発売日前の投稿や特定シーンの公開を制限する条項があることが少なくありません。

会社別の条件はゲーム実況ガイドライン一覧ゲーム実況許諾チェッカーで確認できます。

よくある失敗

指摘を受けて動画を非公開にする

公式は「いつでも公開に戻せるため適切ではない」としています。削除か編集です。

「名前を出されただけ」で削除されると思う

審査基準は一意に特定できるかどうかです。下の名前だけでは満たしません。

家族の代わりに申し立てようとする

第三者の代理は認められません。例外は保護者・法定代理人・亡くなった方の親族です。

配信中に通知が出てから慌てる

通知は事前に止めます。出てから消しても、その瞬間は配信されています。

カメラの背景を確認せずに始める

窓の外の景色、表札、郵便物。総務省が挙げているのは「電柱や看板の文字」が読めるレベルの話です。

まとめ

  • 守る対象は配信中の映り込み・公開後の削除・アカウントの3つ
  • YouTubeは画像・音声・映像・テキストを個人を特定できるものとして扱う
  • 審査の中心は「人物を一意に特定できる」かどうか
  • 下の名前だけの言及や文脈のない短い登場は侵害として扱われない
  • 第三者の代理での申し立ては認められない(保護者・法定代理人・親族は例外)
  • 指摘への対応で「非公開にする」は認められない。削除・編集・ぼかしのいずれか
  • 総務省は映り込みについて電柱や看板の文字、瞳に映ったものまで挙げている
  • 配信は写真より時間が長く・画面が多く・巻き戻せる
  • Twitchの過去の配信はパートナー60日・アフィリエイト14日・それ以外7日で削除される
  • ただしダイジェストとアップロードは期限で消えない(合計100時間の枠内で無期限)
  • IPAはパスワードに最低10文字・大小英字と数字と記号の混在を挙げている
  • 対策は「気をつける」ではなく、映らない構成にしてから始める

よくある質問

YouTubeはどこまでを個人情報として扱いますか?
公式が挙げているのは、個人を特定できる画像・音声・映像・テキストのほか、住所やメールアドレス、電話番号といった連絡先情報、社会保障番号などのID番号、クレジットカードや銀行口座といった金融情報です。加えて、本人の同意なく容姿や声を模倣するようAIで改変・生成されたコンテンツも対象に挙げられています。
名前が出ただけで削除されますか?
されない場合が多いです。YouTube公式は、他の情報を伴わない下の名前だけの言及や、文脈のない短い登場については、プライバシー侵害として扱わないとしています。審査で見られるのは「人物を一意に特定できる」かどうかであり、単に言及されたかどうかではありません。
家族や友人の代わりに削除を申し立てられますか?
原則できません。YouTube公式は「第三者の代理として申し立てを行うことは認められません」としています。未成年者の保護者や法定代理人、亡くなった方の親族といった例外は設けられていますが、友人や同僚、勤務先に関する申し立てを本人以外が行うことはできません。
指摘を受けたら動画を非公開にすればいいですか?
認められません。YouTube公式は非公開について「ステータスは非公開から公開にいつでも変更できるため、これは適切ではありません」と明記しています。対応として認められるのは、動画の削除、タイトルや説明文から個人情報を取り除く編集、顔にぼかしをかけるといった実際にコンテンツを変える方法です。
背景に何が映ると危ないですか?
総務省は、写真に映り込んだものから訪れた店や地域といった生活範囲が推測できるとし、電柱や看板の文字が読めたり、瞳に映ったものが見えたりする可能性を挙げています。建物や地域の行事からも生活範囲は推測できるとされています。実況配信は写真より長く、画面数も多いため、同じ危険がより高い頻度で発生します。
配信のアーカイブは何日残りますか?
Twitchは区分ごとに保存期間を公開しています。パートナー・Prime・Turboは60日間、アフィリエイトは14日間、それ以外のストリーマーは7日間で、期間を過ぎると削除されます。ただし過去の配信のストレージはデフォルトでは有効になっておらず、有効にした場合はVODがデフォルトで公開されます。ダイジェストとアップロードは合計100時間のストレージ制限の範囲で無期限に保存されるため、期限では消えません。
アカウント自体はどう守ればいいですか?
IPAはパスワードについて「大小英字、数字および記号を混在させて最低でも10文字」を挙げ、可能な範囲で複雑な長い文字列を設定するよう案内しています。スマートフォンの画面ロック機能を有効にすることも対策として挙げられています。配信用の端末は視聴者に画面を見せる前提の機器なので、通知や保存情報の扱いを含めて設計しておいてください。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 プライバシーに関するガイドライン - YouTube ヘルプ (Google) 2026年8月13日確認
  2. 公式 テーマ7 SNSで発信するなら気をつけたいこと - 総務省 インターネットトラブル事例集 (総務省) 2026年8月13日確認
  3. 公式 日常における情報セキュリティ対策 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (情報処理推進機構) 2026年8月13日確認
  4. 公式 プライバシー侵害の申し立て手続き - YouTube ヘルプ (Google) 2026年8月13日確認
  5. 公式 Twitchのオンデマンドコンテンツ - Twitch ヘルプ (Twitch) 2026年8月13日確認