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案件・スポンサーシップの受け方|開示は2つの基準を満たす

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結論

案件で守るべき基準は2つあり、要求水準が違います。YouTubeは有料プロモーションのチェックを入れると冒頭10秒間だけ自動の開示メッセージを出します。一方で消費者庁は動画について、途中から視聴する人がいるため冒頭の表記だけでは見逃すおそれがあるとし、画面上に常に表示することが望ましいとしています。チェックボックスを入れれば終わりではありません。なお景品表示法で規制されるのは広告主であり、依頼を受けた側は対象外です。

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結論:基準は2つあり、水準が違う

企業案件を受けるとき、守るべき基準は1つではありません。YouTubeのポリシー景品表示法は別々に存在し、求めている水準が違います。

基準 誰に向いているか 求められること
YouTubeの有料プロモーション 動画を出す側(実況者) 設定でチェックを入れる。冒頭10秒間に自動の開示メッセージが出る
景品表示法(ステマ規制) 広告主(商品・サービスを供給する事業者) 一般消費者が事業者の表示だと判別できる状態にする

この2つを「どちらかを満たせばよい」と読むと足りません。 規制の名宛人が違うので、両方を別々に満たす必要があります。

景品表示法で規制されるのは広告主

まず誤解を解きます。ステマ規制で措置の対象になるのは実況者ではありません。

消費者庁は明記しています。

規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です

Q&Aではさらに具体的です。

広告主から広告・宣伝の依頼を受けて表示を行うインフルエンサーやアフィリエイターは規制の対象外となります。

施行は令和5年(2023年)10月1日です。景品表示法にもとづき「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が指定されました。

「対象外」は「開示しなくていい」ではない

景品表示法の措置対象でないことと、開示が不要であることは別の話です。YouTubeのポリシー違反は動画を出した側に来ますし、広告主が措置を受ければその案件は続きません。開示は自分の身を守るためだけでなく、取引先を守るためでもあります。

YouTube側で「有料プロモーション」に当たるもの

YouTubeは3つを挙げています。

種類 内容
プロダクト プレースメント 支払いを受けて制作したコンテンツに、第三者のブランド・メッセージ・商品が直接登場するもの
おすすめ情報(endorsement) 広告主のために制作したコンテンツで、視聴者がクリエイター個人の意見が反映されていると受け取りうるもの
スポンサーシップ 第三者が制作費の全部または一部を提供し、商品を直接組み込まずにブランドを宣伝するもの

ゲーム実況では3つすべてが起こりえます。 ゲームの提供を受けてプレイすれば1つ目、感想を述べれば2つ目、配信そのものに費用が出れば3つ目です。

設定はYouTube Studioから行います。

10秒と「動画全体」のあいだにあるずれ

ここが実務上いちばん重要な点です。

YouTubeの設定を有効にすると、次の状態になります。

動画の冒頭 10 秒間で視聴者に対し開示メッセージが自動表示されるようになります。

一方、消費者庁は動画について次のように述べています。

動画の場合、一般消費者が途中から視聴する場合も考えられるため、冒頭に「広告」などと表記するだけでは、当該表記を見逃すおそれがあります。

そのうえで、こう続きます。

画面上に常に「広告」と表示するなど、動画全体を通して「事業者の表示」であることが明瞭となるようにしておくことが望ましいと考えられます。

YouTubeの自動表示は冒頭10秒だけです。 10分の動画なら、表示されているのは全体の1.7%にすぎません。

実務としては、YouTubeのチェックに加えて自分でも表示を用意することになります。 テロップの常時表示、概要欄の冒頭への明記、動画内での口頭説明などです。

表示の書き方

消費者庁が挙げている語は次のとおりです。

表示の方法 消費者庁の扱い
「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」 明確な表示として挙げられている
「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章 適切な対応であるとされている
ツリー(リプライ)に「広告」と記載 気付かないおそれがあり、明瞭とはいえない場合が多い
文字のサイズや色が埋もれている 明瞭であることが必要とされており、満たさない

語を書いたかどうかではなく、視聴者が判別できるかどうかが基準です。 「#PR」をハッシュタグの列に埋め込む、概要欄の末尾に小さく置く、といった形は、この基準から見て弱くなります。

無償提供でも該当することがある

「お金をもらっていないから案件ではない」という整理は危険です。消費者庁のQ&Aは次のように述べています。

個別に投稿の依頼を受け、報酬を受領する場合は、当該投稿は「事業者の表示」に該当する可能性が高い

判断は依頼の有無と関係性を含めて行われます。街頭で配っているサンプルを受け取って感想を述べる場合と、個別に依頼を受けて商品提供を受ける場合とでは扱いが違います。

ゲーム実況では、発売前のレビュー用コードの提供がここに当たりやすい形です。メーカー側のガイドラインで発売日前の投稿条件が定められていることもあるため、ゲーム実況ガイドライン一覧ゲーム実況許諾チェッカーで個別に確認してください。

受けられない案件がある

YouTubeは有料プロモーションで宣伝できないものを挙げています。

宣伝できない対象
違法な商品・サービス
性的なサービス、成人向けコンテンツ
許可のない処方薬
無免許のギャンブルサイト
ハッキング・フィッシングのサービス
詐欺的なビジネス

いずれもGoogleの広告ポリシーに沿った制限です。違反した場合はコンテンツの削除に加え、警告 → 違反警告 → 3回で チャンネル停止という段階を踏みます。警告の仕組みはYouTubeのポリシー違反で詳しく扱っています。

案件を受ける前のチェック

案件を受けるときに確認する9項目

  • 商材がYouTubeの宣伝できない対象に当たらないことを確認した
  • ゲームの案件なら、メーカーのガイドラインで発売日前の投稿条件を確認した
  • YouTube Studio で有料プロモーションのチェックを入れた
  • 冒頭10秒の自動表示だけに頼らず、動画内にも表示を用意した
  • 表示の文字サイズと色が、他の情報に埋もれていない
  • 概要欄の開示を末尾ではなく冒頭に置いた
  • 報酬がなく商品提供だけの場合も、依頼を受けた事実があるなら開示した
  • 広告主側の指示に、開示を省く内容が含まれていないことを確認した
  • 収益の計上時期と税務上の扱いを整理した

案件収入は広告収益と入金経路が異なります。全体の手取りの考え方は実況者の収益シミュレーション、広告側の分配率はYouTube広告収益の仕組みにまとめています。

よくある失敗

YouTubeのチェックだけで終える

自動表示は冒頭10秒だけです。途中から見た視聴者には届きません。

「規制対象はインフルエンサーではない」で止める

景品表示法の話であって、YouTubeのポリシーは別に適用されます。

ハッシュタグの列に「#PR」を紛れ込ませる

文字のサイズや色も踏まえて明瞭であることが必要とされています。

無償提供だから開示不要と判断する

個別に依頼を受けた投稿は、事業者の表示に該当する可能性が高いとされています。

広告主から「PR表記なしで」と言われて従う

その指示に従うと、広告主が措置命令の対象になりうる状態を自分で作ることになります。

まとめ

  • 案件で満たす基準はYouTubeのポリシー景品表示法の2つ。名宛人が違う
  • 景品表示法の規制対象は広告主。依頼を受けた側は規制の対象外
  • ただしYouTubeのポリシー違反は動画を出した側に来る
  • YouTubeの有料プロモーションはプロダクトプレースメント・おすすめ情報・スポンサーシップの3種類
  • 設定を有効にすると冒頭10秒間だけ自動の開示メッセージが出る
  • 消費者庁は動画について冒頭表記だけでは見逃すおそれがあるとし、画面上に常に表示することが望ましいとしている
  • 表示は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」のほか、提供を受けている旨の文章でもよい
  • ツリーへの記載や、埋もれた文字サイズ・色は明瞭とはいえない
  • 無償提供でも、個別の依頼があれば該当する可能性が高い
  • 違法商材・成人向け・無免許ギャンブル等は宣伝できない

よくある質問

案件でステマ規制に違反すると、実況者が罰せられますか?
規制の対象は広告主です。消費者庁は「規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です」とし、Q&Aでも「広告主から広告・宣伝の依頼を受けて表示を行うインフルエンサーやアフィリエイターは規制の対象外となります」と明記しています。ただし対象外であることと、開示しなくてよいことは別です。YouTube側のポリシー違反は動画を出した側に来ますし、広告主が措置を受ければその案件は続きません。
YouTubeの有料プロモーションのチェックだけで足りますか?
足りない可能性があります。YouTubeの設定を有効にすると「動画の冒頭 10 秒間で視聴者に対し開示メッセージが自動表示される」仕組みですが、消費者庁は動画について「一般消費者が途中から視聴する場合も考えられるため、冒頭に『広告』などと表記するだけでは、当該表記を見逃すおそれがあります」としています。そのうえで画面上に常に表示するなど、動画全体を通して明瞭にしておくことが望ましいとされています。
何と書けば開示したことになりますか?
消費者庁は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった語を挙げています。またこれらの語に限らず、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で記載する方法も適切な対応であるとしています。重要なのは語そのものではなく、一般消費者が事業者の表示だと判別できるかどうかです。
小さく書いておけばいいですか?
いけません。消費者庁は「文字のサイズや色なども踏まえ、一般消費者にとって、『事業者の表示』であることが明瞭となっていることが必要です」としています。また投稿の本文ではなくツリー(リプライ)に書いた場合について、「通常、一般消費者が当該記載に気付かないおそれがあり、事業者の表示であることが明瞭とはいえない場合が多い」と述べています。
報酬がなく商品をもらっただけでも開示が必要ですか?
必要になる場合があります。消費者庁は「個別に投稿の依頼を受け、報酬を受領する場合は、当該投稿は『事業者の表示』に該当する可能性が高い」としています。判断は金銭の有無だけでは決まらず、依頼の有無や関係性を含めて見られます。無償提供だから対象外と決めつけないでください。
どんな商材でも案件を受けられますか?
受けられません。YouTubeは有料プロモーションで宣伝できない対象を挙げており、違法な商品やサービス、性的なサービスや成人向けコンテンツ、許可のない処方薬、無免許のギャンブルサイト、ハッキングやフィッシングのサービス、詐欺的なビジネスなどが含まれます。違反した場合は動画の削除や違反警告の対象になり、警告が積み重なるとチャンネルの停止に至ります。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 - 消費者庁 (消費者庁) 2026年8月13日確認
  2. 公式 ステルスマーケティングに関するQ&A - 消費者庁 (消費者庁) 2026年8月13日確認
  3. 公式 有料プロダクト プレースメント、スポンサーシップ、おすすめ情報を追加する - YouTube ヘルプ (Google) 2026年8月13日確認
  4. 公式 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び運用基準の公表について - 消費者庁 (消費者庁) 2026年8月13日確認