声・発声

マイクの音量が小さい|全部MAXにしても上がらない原因と直し方

声・発声

結論

マイク本体もWindowsもOBSも最大にしたのに声が小さいなら、足りないのは最大音量ではなく平均音量です。運営者の環境で、フィルタを入れていなかった実況録画を測ると、最大は0dBFSを超えていたのに平均は-20.3 LUFSでした。上げる余地がもう無いところを上げても変わりません。OBSのマイクにノイズ抑制・コンプレッサー・リミッターをこの順で入れ、コンプレッサーの出力ゲインで平均を持ち上げると直ります。運営者の環境では、同じゲームの実況録画で平均が-28.7 LUFSから-19.5 LUFSへ、9.2dB上がりました。

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結論:足りないのは最大音量ではなく平均音量

「全部MAXにしたのに小さい」は、上げる場所を間違えているサインです。 最大音量はもう上限に届いていて、足りないのは普通にしゃべっている部分の平均音量です。

この記事は、運営者(実況ラボ管理人)自身が同じ症状で困り、実際に直したときの記録です。設定値と計測値は運営者の環境で確かめたものです。

状態 運営者の環境
マイク本体のゲインつまみ 最大
Windowsのマイクのレベル +3.3dB(このマイクで設定できる範囲は0〜+31dB)
OBSのマイクの音量 0.0dB(スライダーの右端)
OBSのマイクのフィルタ 1つも入っていない
OBSのメーター 大声のときだけ赤に入る。割れてはいない
症状 録画もYouTubeに上げた動画も声が小さい

直したのは最後から2行目だけです。フィルタを3つ入れたら、声が大きくなりました。

実測:最大は0dBFSを超えていたのに、平均は-20.3 LUFS

フィルタを入れる前の実況録画を2本、ffmpegで測りました。どちらも声とゲーム音が1本に混ざった録画です。

録画 長さ 平均ラウドネス 最大値(True peak) 最大と平均の差 音量のばらつき(LRA)
録画A 41分 -20.3 LUFS +0.3 dBFS 20.6dB 12.4 LU
録画B 65分 -25.0 LUFS -2.4 dBFS 22.6dB 19.9 LU

録画Aは、最大値が0dBFSを超える瞬間がありました。 この状態でマイクやWindowsのゲインをさらに上げると、平均が上がる前に大声が割れます。「全部MAXにしても上がらない」のではなく、これ以上上げると壊れる位置まで、もう上がっていたのです。

放送の音量基準であるEBU R 128は、最大値ではなく番組全体の平均ラウドネスで音量をそろえるよう推奨しています。人が「小さい」と感じるのも、最大ではなく平均の低さです。

全部MAXにしても上がらない3つの理由

どれも、普通の声と大声を同じだけ持ち上げる操作です。差が20dBあるなら、差を縮める道具が要ります。それがコンプレッサーです。

OBS公式も、ゲインは本来OBSに入る前のデバイス側で調整するものとしています。デバイス側が最大まで来ているなら、残る手段は音の差を縮めることです。

マイクの構造や接続方式による感度の違いそのものは、実況用マイクの選び方で整理しています。

直し方:OBSのマイクにフィルタを3つ入れる

音声ミキサーの「マイク」の右にある ▼ から「フィルタ」を開き、左下の「+」で追加します。上からこの順番にしてください。

順 フィルタ 運営者の設定 OBS公式の説明
1 ノイズ抑制 RNNoise(既定) RNNoiseは高品質だがCPU使用率が高い
2 コンプレッサー 比率10:1・しきい値-18dB・アタック6ms・リリース60msは既定のまま。出力ゲイン+10dB 圧縮すると信号は小さくなり平均レベルが下がる。出力ゲインでそれを補う
3 リミッター しきい値-6dB・リリース60ms(既定) 0dBを超えるピークを防ぐ。フィルタチェーンの最後に置く

ノイズ抑制を先に置くのは、コンプレッサーが部屋の雑音まで持ち上げるからです。 平均を上げると、今まで聞こえなかったエアコンやPCのファンの音も一緒に大きくなります。

リミッターは必ず一番下です。 OBS公式もリミッターはチェーンの最後に置くよう書いています。途中に置くと、その後ろのフィルタで上がった分が素通りします。

出力ゲインは+6dBから2dBずつ上げる

最初は運営者も出力ゲインを入れ忘れていました。フィルタを3つ入れても、出力ゲインが0dBのままだと声は大きくなりません。 大声が抑えられるぶん、全体はむしろ少し小さく聞こえます。

運営者の環境では、+6dBから始めて最終的に+10dBにしました。上げ方の目安はこうです。

見るところ 目安
普通にしゃべっているとき OBSのメーターが黄色の上側〜赤の下端
大声のとき 右端に張り付かない
足りないとき 出力ゲインを2dBずつ上げる。他は触らない

メーターの目安は、OBS公式の「話し声は赤の領域の下端に届くくらい」「黄色の上側」という基準に合わせています。Windowsのレベルとマイク本体のつまみは、ここでは動かしません。

結果:平均が9.2dB上がった

フィルタを入れる前と後で、同じゲームの実況録画を1本ずつ測りました。ゲームが同じなので、ゲーム音の条件がそろっています。どちらも声とゲーム音が1本に混ざった録画です。

フィルタ前 フィルタ後 変化
録画の長さ 20分 34分
平均ラウドネス -28.7 LUFS -19.5 LUFS +9.2dB
最大値(True peak) -0.2 dBFS -4.8 dBFS -4.6dB
最大と平均の差 28.5dB 14.7dB 13.8dB縮まった
音量のばらつき(LRA) 18.0 LU 15.1 LU 2.9 LU縮まった

平均が上がったのに、最大はむしろ4.6dB下がっています。 マイクやWindowsのゲインを上げていたら、最大から先に上限に当たって割れていたはずです。

フィルタ後の最大値が-4.8 dBFSで止まっているのは、リミッターのしきい値-6dBが効いているためと考えられます。-6dBより少し上に出ているのは、リミッターの後にゲーム音が混ざるからです。

本人の感想は「おー、大きくなった」でした。 耳で分かる変化が、数値では9.2dBでした。

自分の録画を測る方法

メーターは瞬間の値しか見えません。録画全体の平均を知りたいときは、このサイトの録画の音量チェッカーにファイルを入れるだけで測れます。 ファイルはどこにも送信せず、OBSのmkvは数GBでも読めます。運営者の録画2本で、下のffmpegと同じ値になることを確かめています。

コマンドで測りたい場合は、無料のffmpegを使います。ffmpegはEBU R 128にもとづくラウドネス測定のフィルタ(ebur128)を持っています。

ffmpeg -i 録画ファイル.mkv -map 0:a:0 -af ebur128=peak=true -f null -

最後に表示される要約のうち、見るのは3つです。

表示 意味 運営者の録画(フィルタ前 → 後)
I 録画全体の平均ラウドネス -28.7 → -19.5 LUFS
LRA 音量のばらつきの大きさ 18.0 → 15.1 LU
Peak 最大値(True peak) -0.2 → -4.8 dBFS

Peakが0に近いのにIが低いなら、この記事の症状です。 録画ファイルはどこにも送らず、自分のPCの中だけで測れます。1時間の録画でも、運営者の環境では1分かからずに測り終えました。

よくある失敗

Windowsのマイクのレベルを100にする

平均より先に大声が割れます。OBS公式の推奨は0.0dB前後です。

フィルタを入れて出力ゲインを0dBのままにする

コンプレッサーは大声を抑えるだけで、全体は大きくなりません。声を大きくするのは出力ゲインです。

リミッターを途中に置く

最後に置かないと、後ろのフィルタで上がった分が上限を超えます。

ノイズ抑制を入れずに出力ゲインを上げる

声と一緒に部屋の雑音も大きくなります。ノイズ抑制はコンプレッサーより上に置いてください。

まとめ

  • 全部MAXでも小さいのは、最大ではなく平均が低いから
  • 運営者の録画は、最大が0dBFSを超えていたのに平均は-20.3 LUFS。差は20dB以上あった
  • OBSのスライダーの右端は増幅ではない。Windowsのレベルは0.0dB前後が推奨
  • 直し方は、ノイズ抑制 → コンプレッサー → リミッターの順にフィルタを入れること
  • 声を大きくするのはコンプレッサーの出力ゲイン。運営者は+6dBから始めて+10dBにした
  • 運営者の録画は、フィルタを入れて平均が9.2dB上がり、最大は4.6dB下がった
  • 自分の録画の平均はffmpegのebur128で測れる

マイクの感度そのものが低い場合の考え方はマイクとの距離とゲイン、声とゲーム音の配分は実況の音声バランスにまとめています。

よくある質問

OBSの音量スライダーを一番右にしても声が大きくなりません。なぜですか?
スライダーの右端は、元の音量のまま出す位置だからです。OBSで元の音量より大きくするには、「編集」の「オーディオの詳細プロパティ」で100%を超える値を入力するか、フィルタを使います。ただしどちらも大きい声まで同じだけ持ち上げるので、たまに赤に入るような環境では、先に大声が割れます。
Windowsのマイクのレベルは100にすべきですか?
最大にする必要はありません。OBS公式は、Windowsの録音デバイスのレベルを0.0dB前後にするとクリッピングが最も少なくなるとしています。表示を%からdBに切り替えるには、録音デバイスのプロパティの「レベル」タブで数値を右クリックします。運営者の環境では+3.3dBのまま触らず、OBS側で直しました。
OBSのメーターで声が赤に入っているのに、録画が小さく聞こえるのはなぜですか?
赤に入っているのが大声や笑い声の瞬間だけで、普通にしゃべっている部分の平均が低いからです。運営者の録画では、最大が0dBFSを超えていた一方で、平均は-20.3 LUFSでした。放送の音量基準であるEBU R 128も、最大値ではなく番組全体の平均ラウドネスで音量をそろえます。平均を上げるにはコンプレッサーを使います。
コンプレッサーの出力ゲインは何dBにすればいいですか?
決まった正解はありません。運営者の環境では+6dBから始めて、普通の声がメーターの黄色の上側から赤の下端に届くまで上げ、最終的に+10dBにしました。上げたあとに大声が割れていないかを必ず確かめてください。リミッターを一番下に置いておけば、しきい値より上には出ません。
フィルタを入れると、どれくらい大きくなりますか?
運営者の環境では、同じゲームの実況録画で平均ラウドネスが-28.7 LUFSから-19.5 LUFSになり、9.2dB上がりました。一方で最大値は-0.2 dBFSから-4.8 dBFSに下がり、最大と平均の差は28.5dBから14.7dBへほぼ半分になりました。コンプレッサーの出力ゲインは+10dBです。上がり幅は、元の録画の平均の低さと出力ゲインの値で変わります。
自分の録画の音量を数値で確かめる方法はありますか?
無料のffmpegで測れます。ebur128フィルタを使うと、平均ラウドネス(I)、音量のばらつき(LRA)、最大値(True peak)が表示されます。コマンドは本文に載せています。録画ファイルをどこにも送らずに、自分のPCだけで測れます。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 Audio Mixer Guide - OBS (OBS Project) 2026年9月26日確認
  2. 公式 Compressor Filter - OBS (OBS Project) 2026年9月26日確認
  3. 公式 Limiter Filter - OBS (OBS Project) 2026年9月26日確認
  4. 公式 Noise Suppression Filter - OBS (OBS Project) 2026年9月27日確認
  5. 公式 EBU R 128 Loudness normalisation and permitted maximum level of audio signals (EBU) 2026年9月27日確認
  6. 公式 FFmpeg Filters Documentation(ebur128) (FFmpeg) 2026年9月27日確認