編集・演出

編集ソフトの選び方|入口と出口は先に決まっている

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結論

編集ソフトの比較記事は機能一覧の話になりがちですが、実際に選択を縛るのは入口と出口です。入口はOBSの録画ファイル形式で、OBS公式は録画が正常に停止しなかった場合にファイル全体が壊れないという理由からMKVを推奨しています。出口はYouTubeの要求で、コンテナはMP4、映像はH.264ハイプロファイル、音声はAAC-LCの48kHzが推奨値です。DaVinci Resolveの無料版は公式に「60fpsまでのほぼすべての8-bitフォーマットおよびUltra HD 3840x2160までの解像度に対応」と書かれており、実況の主流である1080p60・8-bitはこの範囲に完全に収まります。

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結論:ソフトが決められる範囲は狭い

編集ソフトの比較で語られるのは機能の数ですが、実際の選択は前後の仕様で挟まれています。

ソフトに求められるのは「入口を読めて、出口を出せること」です。 ここを満たさないソフトは、機能がいくら多くても使えません。

入口:OBSはMKVを勧めている

OBSの公式ナレッジベースには理由まで書かれています。

MKV will not corrupt the whole file if there is no graceful stoppage of recording

録画が正常に停止しなかった場合でも、ファイル全体が壊れないという理由です。長時間の実況配信中にPCが落ちる、OBSが強制終了する、電源が切れるといった事態は現実に起こります。

MKVが読めないソフトのために録画形式を落とさない

「編集ソフトがMKVを読めないからMP4で録画する」という判断は順序が逆です。OBSには[ファイル]→[録画の再多重化](Remux Recordings)があり、録画後にMP4へ変換できます。 壊れにくい形式で録っておき、必要になってから変換してください。

OBSの録画まわりの設定はOBSの初期設定、ビットレートなどの数値は録画投稿の設定にまとめています。

出口:YouTubeが求める形式

書き出し設定で合わせるべき項目です。ビットレートの数値表は録画投稿の設定側にあるため、ここでは形式だけを扱います。

項目 YouTubeの推奨
コンテナ MP4
MP4の指定 編集リストは含めない / moov atom をファイル先頭に含める(ファストスタート)
映像コーデック H.264
プロファイル ハイ プロファイル
Bフレーム 2連続
GOP クローズドGOP
エントロピー符号化 CABAC
クロマサブサンプリング 4:2:0
音声コーデック AAC-LC(Opus、Eclipsaオーディオも可)
サンプルレート 48 kHz
フレームレート 記録したときと同じ

フレームレートの項目は特に守ってください。 公式の記載は「コンテンツは、記録したときと同じフレームレートでエンコードしてアップロードする」です。60fpsで録った素材を30fpsで書き出せば情報が減り、30fpsの素材を60fpsで書き出しても増えません。

インターレース素材は「アップロードする前にインターレースを解除する必要があります」とされていますが、PCゲームのキャプチャは通常プログレッシブなので、実況では問題になりません。

無料版で足りるかは3つの数値で決まる

DaVinci Resolveの公式比較ページは、無料版とStudio版の境界を解像度・フレームレート・ビット深度で説明しています。

項目 無料版 Studio版
解像度 Ultra HD 3840×2160まで 4Kを超える解像度
フレームレート 60fpsまで 120fpsまで
ビット深度 8-bit 10-bit
ノイズ除去(時間的 / AI空間的)
DaVinci AI Neural Engine
テキストベースの編集
Magic Mask
HDRグレーディング
マルチユーザーコラボレーション

実況の主流は無料版の範囲に完全に収まる

ゲーム実況で一般的な1080p60・8-bitは、無料版の上限(3840×2160・60fps・8-bit)に対して余裕があります。解像度やフレームレートを理由に有料版を買う必要はありません。 Studio版の価格は¥51,980(税込 / 2026年8月14日時点)ですが、買う理由になるのは上限ではなく処理系の機能です。

有料版を買うべきタイミング

「いつか使うかもしれない」で買うものではありません。具体的な処理に詰まったときが買い時です。

編集時間そのものを減らす話はカット編集の判断基準、PCの性能要件は実況用PCのスペックにまとめています。

導入前チェック

編集ソフトを決める前に確認する7項目

  • 録画ファイルの形式(MKVかMP4か)を把握している
  • そのソフトが録画ファイルをそのまま読める(読めないならOBSの再多重化を使う)
  • 書き出しでMP4・H.264・AAC-LCを選べる
  • サンプルレートを48kHzに指定できる
  • タイムラインのフレームレートを録画素材に合わせられる
  • 素材が3840×2160・60fps・8-bit以内に収まっている
  • 字幕ファイルを別途書き出せる(形式ごとの違いは字幕の記事を参照)

字幕を別ファイルで運用する場合、形式によってできることが変わります。詳細は字幕ファイルの選び方にまとめました。

よくある失敗

編集ソフトの都合で録画形式をMP4にする

OBSがMKVを推奨する理由は、録画が正常に停止しなかったときにファイル全体が壊れないためです。変換は後からできます。

解像度を理由に有料版を買う

無料版でも3840×2160・60fps・8-bitまで対応します。1080p60は余裕で収まります。

フレームレートを書き出し時に変える

公式は「記録したときと同じフレームレートで」としています。落としても上げても得はありません。

機能一覧の多さで比較する

使わない機能は編集時間を縮めません。詰まっている処理があるかどうかで判断してください。

書き出し設定を既定のまま使う

MP4の「編集リストを含めない」「moov atomをファイル先頭に」といった指定は、設定項目がある場合に合わせます。

まとめ

  • 編集ソフトが決められる範囲は入口と出口に挟まれて狭い
  • OBS公式はMKVを推奨。録画が正常に停止しなくてもファイル全体が壊れないため
  • MKVが読めないなら[ファイル]→[録画の再多重化]でMP4へ変換する
  • YouTubeの推奨はMP4 / H.264ハイプロファイル / CABAC / 4:2:0 / AAC-LC 48kHz
  • MP4には編集リストを含めないmoov atomをファイル先頭にという指定がある
  • フレームレートは記録したときと同じにする
  • DaVinci Resolve無料版は3840×2160 / 60fps / 8-bitまで。1080p60はここに収まる
  • Studio版が必要になるのはノイズ除去・Neural Engine・Magic Mask・テキストベース編集が要るとき
  • 上限ではなく処理系の機能で購入を判断する

よくある質問

編集ソフトは有料版が必要ですか?
扱う素材で決まります。DaVinci Resolveの公式比較ページは、無料版を「60fpsまでのほぼすべての8-bitフォーマットおよびUltra HD 3840x2160までの解像度に対応」、Studio版を「120fpsまでの10-bitビデオおよび4Kを超える解像度をサポート」と説明しています。ゲーム実況で一般的な1080p60・8-bitは無料版の範囲に収まるため、解像度やフレームレートを理由に有料版を買う必要はありません。
OBSの録画はMP4とMKVのどちらにすべきですか?
OBS公式はMKVを推奨しています。理由は「MKV will not corrupt the whole file if there is no graceful stoppage of recording」、つまり録画が正常に停止しなかった場合でもファイル全体が壊れないためです。編集ソフトがMKVを読めない場合は、OBSの[ファイル]から[録画の再多重化]を実行すればMP4に変換できます。録画時点で壊れにくい形式を選び、必要になってから変換するのが順序です。
書き出しの形式は何にすればいいですか?
YouTubeの推奨はコンテナがMP4、映像コーデックがH.264のハイプロファイル、音声がAAC-LCでサンプルレート48kHzです。MP4については「編集リストは含めません」「ファイルの先頭に moov atom(ムーブアトム)を含めます(ファスト スタート)」という指定もあります。H.264側には2連続Bフレーム、クローズドGOP、CABAC、クロマサブサンプリング4:2:0が挙げられています。書き出し設定にこれらの項目がある場合は推奨値に合わせてください。
フレームレートは編集時に変えてもいいですか?
変えないでください。YouTube公式は「コンテンツは、記録したときと同じフレームレートでエンコードしてアップロードする」としています。60fpsで録ったものを30fpsに落とすと動きの情報が失われますし、30fpsで録ったものを60fpsに書き出しても情報は増えません。タイムラインのフレームレートを録画素材に合わせるのが基本です。
有料版が必要になるのはどんな作業ですか?
DaVinci Resolve Studioの場合、公式が挙げているのはDaVinci AI Neural Engine、さらに多くのResolveFX、時間的/AI空間的ノイズ除去、テキストベースの編集、Magic Mask、フィルムグレイン、オプティカルブラーです。暗い部屋で撮った顔出し映像のノイズを消す、被写体だけを自動で切り抜くといった処理が必要になったときが買い時で、機能一覧の多さで判断するものではありません。
高性能なPCがないと編集できませんか?
編集の重さは解像度・フレームレート・ビット深度で決まります。1080p60・8-bitの素材なら要求は比較的軽く、4Kや10-bitに上げると跳ね上がります。逆に言えば、録画設定を上げるほど編集用PCへの要求も上がるということです。録画側の設定と編集側の負荷はセットで考えてください。

出典

本文中の数値・仕様は以下の一次情報を確認して記載しています。

  1. 公式 Standard Recording Output Guide - OBS Knowledge Base (OBS Project) 2026年8月13日確認
  2. 公式 YouTube にアップロードする動画におすすめのエンコード設定 - YouTube ヘルプ (Google) 2026年8月13日確認
  3. 公式 DaVinci Resolve 比較 - Blackmagic Design (Blackmagic Design) 2026年8月13日確認